Muller(ミューラー兄弟)による、アールヌーボー様式 真鍮製テーブルランプ4灯です。
ミューラー作品は、技法的にはガレやドームの技法が全て駆使されていますが、ひと味違う点としては、主としたカメオ・グラスの作品にも、常にその素地に独特の色彩と混ざり具合をもつ雲のような美しい斑文が見られることにあります。また、1919年から1935年の作品にはMuller(ミューラー)の名の他に『FRERES』もしくは『FRES.』とLUNEVILLE(リュネヴィル工房のあった地名)が入っています。第一次大戦で最愛の末弟のユジェーヌを失ったミューラー兄弟が、追悼の意味を込めてFRERES(兄弟)をサインに付け加えることにしたといわれています。
ミューラー / Muller
フランスのガラス工房、Muller(ミューラー)兄弟社。ミューラー兄弟は、モーゼル地方で9人の息子と1人の娘の10人兄妹として生まれました。村人の殆どがガラス職人という環境に育った彼らは、ほぼ全員がガラスの世界に入り、兄弟10人中5人がエミール・ガレの工房で働き、その技術や作品の様式などを学びました。1895年に三男アンリが独立しLUNEVILLE(リュネヴィル)に工房を開くと他の兄弟達も集り、一家で工房を経営。アールヌーヴォーからアールデコ期を経て、1936年まで制作が続けられました。
アールヌーボー(アールヌーヴォー) / art nouveau
19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパを中心に開花した国際的な美術運動。この時代まで芸術のモチーフには使われなかった昆虫や爬虫類など、有機的な自然のモチーフを使うことが流行しました。浮世絵など日本からやってきた日本美術の影響を受け、古典的な芸術から脱皮して新しい美の革新を求めたのがアールヌーボーです。